アルファロメオミュージアム、アレーゼ:イタリアンスタイルのエレガントさとスピード

2019年12月25日Ruote Leggendarie Production | イタリア

 
アルファロメオミュージアムがレストアされ2015年に再オープンした。ミラノ郊外のアレーゼ、かつて歴史的な工場があった場所の敷地内にある。
展示は航空機の星形と直列型のエンジンのコレクションから始まる。第二次世界大戦中の製造に特に焦点が当てられている。
 


2階に上がっていくと広い展示室があり、そのインパクトは強烈だ。アルファロメオの歴史の中で重要なモデル全てが並んでいる。超豪華なRLスーパースポーツから素晴らしく洗練された白の6C1750グランスポーツザガート、強力な8C 2300、歴史的な1900など。1900モデルとジュリエッタで戦後のアルファブームを独占し、アルファの名前を世界中に知らしめた。もう一つ別のあるモデルは、じっくり見る必要がある。後のアルファGスタイルモデルのインスピレーションの元となった車の一つ、2600スプリントだ。そしてブルーのジュリア、警察の車両として使用されたことを思い出させるそのカラー。
 
下の階には、70年代から現在までの車両がディスプレーされている。ガンディーニ氏によってデザインされた未来的なスタイルのモントリオールモデルにはじまり、アルファスッドやアルフェッタにいたるまで。アルファ75や164のモデルは、はっきりしたウェッジラインで、特に前者はアルファファンからは、後輪駆動なことから、アルファ精神の最後の車と考えられている。先に進むと、ある芸術的な車がどうしても目を引く。ワルター・デ・シルヴァにデザインされた156だ。セダンだがクーペの様に見える。前面は過去のモデルを思い出させ、ミュージアムの中のどの車で同じ特徴が見られるかを探してみるのもおもしろい。側面を見ると、前後のライトを繋ぐショルダーラインは、真ん中の部分はラインが消えて、そのことでクローム処理されたハンドルが重要なデコレーションの様に強調されて見え、とてもエレガントである。リアドアのハンドルは完全に隠れている。
 
その横には、近年限定生産されたスポーツカー8C コンペティツィオーネがその強い個性を見せている。
 
さらに下の階には、プロトタイプを初めとするスタイルのアイコンとなった車両が展示されている。そのうち2台の未来的な車がすぐに目に飛び込んでくる。ガンディーニ氏とジウジャーロ氏によるカラボとイグアナである。これらのモデルとディスコ・ボランテ(空飛ぶ円盤)と1914年のアエロディナミカを見ると、SFの本から飛び出してきた様な感じがする。イグアナの名前が、鱗を思い出させる車体の前後が開くことからきていると言うこともおもしろい。一方カラボは、70〜80年代に作られた車によく見られる、ウェッジスタイルの神髄である。
 
一番下の階では、30年代の大きく豪華な6Cモデルがその流線型のスタイルを見せている。
少し隠れた場所では、イタリアの車のスタイルの絶対的な傑作として知られている二つのモデルが見られる。それぞれピニンファリーナとベルトーネによってデザインされた(最初のシリーズの方が格段だったとしても)、ジュリエッタスパイダーとジュリエッタスプリントだ。イタリアのスタイリングの伝統が、それらのエレガントさを備えた美しい車をデザインする際に、エレメントを加えるのではなく、省くというアイディアを思いつかせる手助けとなった。同じ展示室には、ジュリアやジュリエッタが複数みられる。それらの後から出たモデル、特に力強いGTAやアイコニックなデュエットスパイダー、は多くの人々のウィッシュリストに載っていた。
続く展示室は、レースモデルに捧げられている。世界選手権で優勝したタツィオ・ヌヴォラーリによって運転されたP2やP3、最初のF1でファリーナによって運転され優勝した158、時速300kmを出せる159、この車はファンジョにより運転され1951年に優勝した。他にも8C 2300モンツァ、ツインエンジンのエクスペリメンタルのモデルが数台。全て効果的にディスプレーされている。
 
最後はGT競技に関する展示室で、33ストラダーレ、GTA、TZ2 コーダトロンカは一見の価値がある。
夢のアイコニックな車たちは、今でも人々の記憶の中にある。残念ながらミュージアムでは、ツインエンジンを始動し、そのエンジンの音を聞いたり、運転したりはできない。