27 11月 ブガッティ(BUGATTI): 叶わなかった夢
ブガッティ(BUGATTI): 叶わなかった夢
2018年11月25日 – Ruote Leggendarie Production | イタリア
最近、モデナからそう遠くないカンポガリアーノにある、旧ブガッティの工場を訪れる機会があった。
高級車スポーツカーがすでに作られている土地で、ブガッティを再出発させようという大きなチャレンジが試みられていたことについて、何度も耳にしていた。当時の守衛により内部を案内され、この見学は大変興味深いものだった。
彼は、建物やそこで製造されていた車たちがその当時どれほど最先端のものだったか説明してくれた。
車
ブガッティの歴史についての詳しい話は別のところで見てもらいたいと思うが、知らない人のため少し説明する。90年代始め企業家ロマーノ・アルティオーリは、高性能のスポーツカーとそのエンジンを作ることにした。そうやって産まれたのがEB110。2シーター、リアマウントのV12エンジン、ターボ4つで約610馬力、チタンを使った部分もあった。4WD、カーボンファイバーのシャシー、贅沢な内装。恐らく当時、モデナの車メーカーにとっては、頭痛の種だっただろう。
そのシンプルなラインが今でもまだその車をモダンだと感じさせてくれる。
この車は、時速351kmという高速を出せ、0-100km/hを3.2秒という早さで到達でき、いくつかの記録を破った。
高級品と言うイメージを強めるために、フランスの俳優アラン・ドロンがブランドイメージとして選ばれた。ブランドを刷新するため、最高レベルのマーチャンダイジング、その他様々な活動が試みられたり、フランスのベルサイユ宮殿で車を発表したりもした。
しかし、ビジネス的観点でいうと、夢は数年しか続かず、2台目のモデルEB112が設計されていたにも関わらず、倒産してしまった。その後、Volkswagenグループによって買収された。
工場
外観だけが残る建物にも関わらず、工場を見学する人を驚かせるのは、建築家ベネディーニによる建物のプロジェクト方法だ。いくつかの施設は機能性と人間工学に焦点を当て、洗練された方法により作られていた。特に、生産ラインのあった場所の壁が、できるだけ明るさを取り入れるため傾いていたり、実験をする部屋には隠れた車のリフトがあったり、工具類が吊るされてたり、移動可能なコンプレッサー、ライト、電源などが設置されていた。ローラーのある車両試験ベンチの部屋は、高出力の4WD車でも使用可能であった。これは、将来的に外部の顧客も使えるようにとのものだった。エンジンテストベンチは、使い勝手が良く、違うガソリンのタイプが使える様に設計されていた。建物は、熱交換により、エネルギー効率を上げるようになっていた。
デザインをする場所は、さらなる驚きが待っていた。上から見ると四角いガラスと半円形が重なり合っている。その様になっている理由は、デザイナー等のイマジネーションを使って仕事をしている人にとって、カーブと光のたくさんある環境が刺激になると考えられたからだ。様々な場所を見て行く。ガイドの説明がとても上手く、それぞれの場所で何が見られたか、当時を上手く想像できるように説明してくれる。中が空洞の金属の柱、手すりが光っている階段、お手洗いの大理石、防音で拡散光のオフィス、ケーブルは全て見えない様になっていた。
カーブになった建物の入り口はおもしろいが、本当に印象的なのは、地上階にある丸い形のショールームだ。少し高まった通路を通って到着する。その通路は、道路に似せた玄武岩のブロックでできている。ショールームの中心部分は回転する仕組みになっていて、見せたい車に注目を集めることができるようになっていた。
ビジネスが上手くいっていたら、どのような使われ方ができたか、また閉鎖されるに至った理由等を考えると残念に感じる。
キュリオシティー
ブガッティを経営していた頃、アルティオーリ氏はロータスを買収し、有名なロータス・エリーゼを同じこの場所でプロジェクトした。彼の孫の名前がエリーザだった。